先日酒蔵の方に聞いた話。忘れないうちに書いておこう。
新酒鑑評会っつーのが年に1度あります。金賞受賞酒、とか書いてある奴を決めるコンテスト。各蔵が「うちの蔵はここまでの酒を造る技術を持ってます」というのを競うコンテストなので、一般流通用の酒とは作りが違う。
で、鑑評会出品用の酒は500mlの指定の瓶を利用する。指定のっていうのは、アール瓶と呼ばれるリターナブル瓶。リターナブル瓶ってのはその名の通り、回収して洗浄して再使用する瓶のこと。
ちょっと調べたんだけど、日本酒業界でもリターナブル瓶は導入しているものの、ジュースやビール瓶と違ってデポジットが無いらしい。ので、回収するモチベーションが酒屋に余りなくて上手く回ってないようだ。そういや昔はコーラの瓶を酒屋に持って行くと幾らか貰えたような。
このリターナブル瓶、ちゃんと洗浄してあるので基本的に問題ないんだけど、ごく稀に同じ酒を詰めても味が変わってしまうことがあるそうな。提出するのは精魂込めて造った酒を5リットルだけ、しかもその内鑑評に使われるのは2本だか4本だか(うろ覚え)なので、そこに運悪くダメな瓶が当たってしまうと目も当てられない。
そこで「ちゃんとした蔵」では「利き瓶」を行うところがあるそうな。
何をするかというと出品の1年前とかに30%〜40%の純粋なアルコール、もしくは普通酒などを入れておいて、使う前に「利きアルコール」をして変な匂いや味がついていないか確認する作業。40%のアルコールを利くのは大変らしい。そりゃそうだな。
ちなみに池袋で並べられる鑑評会出品酒は同じタンクから出しているものの、広島の鑑評会に出す物とは気合いが全く違うので、蔵によってはヒドイ状態のものを出してきてると。一般流通に乗るのも同じような状態。
ま、上述のように出品酒はコンテスト用の特殊な極限の酒なので、蔵の技術であって、一般流通用の酒がどうかというのと直接リンクはしないので注意。蔵によって得意分野は色々なので。